こんな夜更けにバナナかよ
この本が発売された当初、題名が気になり手に取った記憶はありますが、
その時はそれほどの興味がわかずに買わなかった本。
この仕事をして神経難病の患者様と関わる機会が増え、
このたび映画化されるということで話題にのぼった本。
「今」がそのタイミングなのかと思い、購入し、読んでみました。
昔から読書感想文を書くのは苦手だったので、(笑)
気づいたこと、思ったことを書きます。
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この本は鹿野 靖明さんという、札幌市に住んでいた筋ジストロフィーの方のお話しです。
今ほど医療・福祉のサービスもなく、在宅生活をサポートする体制が整う前に、
人工呼吸器となりながらも在宅生活を望み、ボランティアと共に奮闘した在宅生活が、
ボランティアさんの目線、取材を行った筆者の目線などを通しつづられています。
その中でも印象に残った文章がいくつもありました。
『
「自立」とは、自分で収入を得て、自分で何でも行えることではなく、
自分の人生をどうしたいかを自分で決める事。
』
『
「共に生きる」とは、つまりは、摩擦や対立を当然のごとく含み込んだ上での、
「対話」を重視した双方向的な関係に他ならない。
』
「自立」という言葉はリハビリの場面でもよく使われる言葉であり、
生活動作を自分で行えるのか、介助が必要なのかということを表していましたが、
この「自立」の考え方にははっと思うことがありました。
また、介助する側は
「してあげる」
「守ってあげる」
「手伝ってあげる」
というような思い、関係性になってしまうことがどうしてもあります。
この本の題名でもある、
夜中にバナナを食べたい!という思い(デザートでもなんでも良いです)は、
私たちであれば近くのコンビニまで行って買って食べるでしょう。
でも鹿野さんのように誰かに「お願い」をする立場の人は、
我儘ととらえられてしまったりすることがあり、
また迷惑をかけたくないという気持ちで我慢をしてしまいます。
でも本当は介助する側、される側の関係は対等なものであって、
食べたいならそう言えばいいし、買いに行く側も大変ならそう言えばいいのです。
それが「対話」なんだと思いました。
皆さんも家族には言いたいことを言い、思ったことを言い返しているはずです。
そんな家族のような関係を築いた、鹿野さんとボランティアさん達。
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とても勉強になり、考える事の多かった本でした。
お時間のある方はぜひ読んでみてください!
理学療法士 原 早希